眼内コンタクトレンズ治療 ICL(Implantable Contact Lens)について

眼内コンタクトレンズ治療は、レンズを目の中に入れて視力を矯正する治療法です。
フェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ)治療と呼ばれることもあり、当院では日本で認可されているICLとIPCLを用いています。レンズは黒目(虹彩)の後ろ側と水晶体の前面の間に固定しますので外から見てもわかりません。
眼内コンタクトレンズ治療の歴史
ICLは1978年から開発が始まり、現在の眼内コンタクトレンズ治療は1997年に欧州、 2005年に米国で承認され治療がスタートしています。国内では2003年から治験が始まり2010年に承認され一般に治療が始まりました。
一方IPCL(旧タイプ)は2014年から使用され、IPCL V2.0は2017年に販売開始しました。イギリス、ドイツ、スペイン、チェコ、韓国等、世界の30か国以上で販売され、国内では2025年に承認されました。これまで15万眼以上に挿入されています。
ICLとIPCLの違い
ICLは歴史がありレンズの安定性に優れていることが証明されていること、IPCLは下記のように個人に合わせてカスタマイズしやすいことが特徴です。
ICL | IPCL(単焦点) | IPCL(多焦点) | |
---|---|---|---|
矯正範囲 | 近視 -3D~-18D 乱視 +1D~+4.5D |
近視 -0.5D~-30D 遠視 +0.5D~+15D 乱視 +0.5D~+10D |
近視 -0.5D~-30D 遠視 +0.5D~+15D 乱視 +0.5D~+10D 加入度数 +1D~+4D |
老眼対応 | × | × | 〇 |
レンズサイズ | 12.1mm 12.6mm 13.2mm 13.7mm |
11mm~14mm (0.25mm刻み) |
11mm~14mm (0.25mm刻み) |
レンズ素材 | collamer ヒドロキシエチルメタクリレート(hema)とコラーゲンの共重合体 |
ハイブリッド親水性アクリル | ハイブリッド親水性アクリル |
費用 (税込み) |
片眼33万円 (乱視用38万5千円) |
片眼29万7千円 (乱視用35万2千円) |
片眼44万円 (乱視用49万5千円) |
適応検査
他の目の病気(緑内障や白内障など)や全身疾患のない近視や乱視の方が対象になります。強度の近視や角膜の薄い場合も対象になります。目の形状や状態、他の疾患をお持ちの場合は治療を受けられない場合があります。
特徴
眼内コンタクトレンズ治療は、角膜を削らない視力矯正法で、あざやかな見え方でドライアイや夜間のハロー・グレアの出現が少なく、長期安定性に優れた結果が期待されます。
目にやさしい生体適合性の高い素材
目の中に入れるレンズは、ソフトコンタクトレンズのような柔らかい無色透明の素材です。 有害な紫外線をカットする機能もあり、半永久的に使用可能です。
ずっとお手入れ不要取り出すことも可能
目の中のレンズは、くもったり汚れたりしないので、日々のお手入れやメンテナンスは不要です。目の中でゴロつきを感じることもありません。治療後に必要が生じた場合はレンズを取り出して元の状態に戻すことが出来ます。
日帰り治療のため回復も早い
眼内コンタクトレンズ治療の治療は、レンズを専用の器具で目の中に入れます。 麻酔は目薬だけですから痛くありません。また傷口が約3ミリと小さいので回復が早く日帰りで可能です。縫合や抜糸の必要もありません。
角膜を削らない大きな光学系
眼内コンタクトレンズ治療なら、角膜を削らないので角膜の形がほとんど変化しません。また光学系が大きく確保できるため、夜間に問題となるハロー・グレアの抑制による、優れた見え方が期待されます。
将来の目の病気の治療に影響を与えません
眼内コンタクトレンズ治療のレンズは、取り外して元の状態の戻すことができるので、将来白内障などの目の病気になった際に、治療の選択肢が狭まるようなことがありません。
眼内コンタクトレンズ治療の手術の流れ

手術後の主な症状について
- 見え方について
-
- 視力の変動:術後1週間ほどは、炎症などで視力が変動することがあります。
- ハロー・グレア・光の輪:夜間や暗い中で光を見た時に、眩しさを感じる場合があります。通常は徐々に気にならなくなりますがこの症状が残る場合はご相談下さい。
- 一般的な症状(帰宅~翌日)
-
- 異物感、充血、かすみ:傷口が治癒し、炎症が治まることで、時間とともに自然に改善します。
手術後の注意事項
手術後一定の期間、日常生活の以下のような項目について制限があります。詳しくは治療を受けたクリニックにご確認いただき指示に従って下さい。
- 洗髪・洗顔
- シャワー・入浴
- 化粧・アイメイク
- 飲酒・たばこ
- 運転
- 運動
- プール
Q&A
- Q. 治療を受ける制限はありますか?
- A. 目の形や病気、全身疾患などによって治療の対象とならない場合があります。事前に詳しい検査を行い、目の形、状態、生活習慣などを総合的に検討して治療が可能かを専門の医師が診断を致します。また正確な検査のためにコンタクトレンズ(特にハードレンズ)は一定の期間装用を中止していただく必要があります。妊娠中、授乳中は視力が不安定になることがあり近視矯正手術はできません。
- Q. Q. 手術は痛いですか?
- A. 目薬タイプの点眼麻酔をしますので痛みはほとんどありません。
- Q. Q. 眼内コンタクトレンズを入れていることは他人に気が付かれますか?
- A. 虹彩の後ろに挿入するので、外からは見えません。
- Q. 「ハロー」・ 「グレア」とはなんですか?
- A. 暗いところで明るいライトなどを見た時に光の周りににじんだ輪が見える現象をハロー(光輪症)といい、ギラギラと光ってとても眩しい症状をグレアといいます。症状の度合いや期間には個人差がありますが、治療後数ヶ月で自然と気にならなくなることが一般的です。
- Q. 費用は公的医療保険の対象ですか?
- A. 公的医療保険の対象ではありません。ご自身で加入している民間保険の給付については、「有水晶体眼内レンズ挿入術」が対象かどうか、加入保険会社へお問い合わせ下さい。
- Q. 老眼も治りますか?
- A. 40歳頃から加齢に伴う調節力の衰えにより「手元が見にくい」と言った老眼の症状が出始めます。老眼は遠近のピントを合わせる能力が衰える症状です。眼内コンタクトレンズ治療は近視や乱視など屈折の矯正を行いますが、老眼の治療ではありません。老眼により手元が見にくい場合は近用眼鏡(老眼鏡)等を適宜使用して下さい。